湯河原温泉は神奈川県の南西端に位置し、町域の大部分が箱根火山南東麓の山地帯で、南境沿いを流れる千歳川とその支流の藤木川の合流点付近が温泉の中心街となる。海にも近い山峡の静かな環境にあり、万葉の古歌にも「足柄の 土肥の河内に 出づる湯の 世にもたよらに 子ろが言わなくに」と詠まれた歴史ある温泉場である。解釈「二人は、足柄の土肥の川に湧く温泉のように、絶えることはけっしてないとあの娘は言うのだけれども、・・・」と男の不安な気持ちを詠んでいる。（昔、湯河原温泉は土肥と呼ばれていたそうです。）<img class="alignnone wp-image-26278" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image1.jpeg" alt="「亀屋旅館」の外観です。" width="600" height="450" />そんな温泉場の高台に佇む「亀屋旅館」さんは、明治18年創業の老舗旅館。81℃と59℃の温度の異なる自家源泉を2本持ち、男女別の浴場以外の全客室のお風呂もすべて自家源泉のかけ流し。それでもお湯が余るので他の宿泊施設などにも供給するほどだそうです。玄関に紅白の提灯かかる木造の趣きある佇まい。<img class="alignnone wp-image-26279" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image2.jpg" alt="男湯に入るとパルテノン神殿ばりの柱が5本目立っています。" width="450" height="338" />亀屋旅館さんの男湯は中に入るといきなりパルテノン神殿ばりの柱が5本立ち、その隙間の先にチラリズム的に浴槽を見せるエロいしつらえ。<img class="alignnone wp-image-26281" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image4.jpg" alt="じっくりと温泉を堪能できます。" width="450" height="656" />戦後、間もない昭和23年頃に造られたという小粒なタイルで埋め尽くされた湯殿には、ビヨ～ンと両サイドから餅を引っ張ったようなサイケなかたちの5・6人サイズの浴槽が鎮座する。適温に調節された無色透明な湯はほんのり鉱物臭があり、お隣の熱海温泉のようなクッキリ強めの塩味ではなく微かに感じる程度の石膏・食塩泉。生まれたて、鮮度バツグンの湯を味わえる。<img class="alignnone wp-image-26282" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image5.jpeg" alt="源泉100％です。" width="450" height="338" />源泉がまーるい石玉をスライドするように注がれ、湯口の周りにはカルシウムなどの析出物がこびり付く。源泉100％のたまもの。<img class="alignnone wp-image-26283" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image6.jpeg" alt="とてもやさしい肌触りの浴槽です。" width="450" height="338" />凝りに凝った美しいタイルの意匠を眺めずにはいられない。湯の心地良さも然ることながら小粒のタイルで施された浴槽の肌触りもとてもやさしいのです。<img class="alignnone wp-image-26284" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image7.jpeg" alt="アール状の壁や柱からも気遣いを感じます。" width="450" height="338" />グラデーションを施した壁や柱。角部分（出隅）はアール状に施工するなど当時のタイル職人の細部へのこだわりが見て取れる。<img class="alignnone wp-image-26285" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image8.jpeg" alt="館内には昭和の雰囲気が溢れます。" width="451" height="338" />昭和感溢れる館内には「あらっ、いらっしゃいっ」とハスキーボイスの青江三奈が迎えてくれそうなバーカウンターがある。天井にはミラーボール、紅いカウンター、時代遅れな妙味がムンムン漂っている。<img class="alignnone wp-image-26286" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image9.jpeg" alt="2階に上がり迷路のような館内を歩き進むと赤い欄干のついた橋に出ます。" width="451" height="338" />浴後、宿のご主人に浴場や館内のしつらえに興味を示すと色々とお話してくださり、そのうえ館内の客室や現在使われていない露天風呂にまで案内して下さいました。2階に上がり迷路のような館内を歩き進むと赤い欄干のついた橋に出る。<img class="alignnone wp-image-26287" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image10.jpg" alt="もう動かない懐かしのピンボール台も画になります。" width="450" height="600" />橋を渡った先の卓球室にある今はもう動かない懐かしのピンボール台。古き良き昭和で時が止まったかのような館内に僕のハートはロックオン。亀屋旅館さんは現在、素泊まりと日帰り入浴のみの営業形態（要電話確認）をとっているが、この古き良き昭和感を生かし、テレビやグラビアなどの撮影の場としても提供している。ミュージシャンや演歌歌手のPVや映画のロケ場所としていい画が撮れそうですもんね。<img class="alignnone wp-image-26288" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image11.jpeg" alt="グラビア撮影などに使われる現在は入れない露天風呂です。" width="451" height="338" />現在は入れないが、この露天風呂もグラビア撮影などにつかわれるという。<img class="alignnone wp-image-26289" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image12.jpeg" alt="伝説のF1レーサー、アイルトン・セナが宿泊した部屋です。" width="451" height="338" />客室にも案内していただいた。この客室、なななんと、あの伝説のF1レーサー、アイルトン・セナが宿泊した部屋だという、嘘みたいなホントの話をのほほーんと話すご主人にクギ付け。ぱっと見、一般的な和風旅館の部屋に見えるが、部屋にある岩風呂や組子障子などの細部にこだわった純和風の瀟洒な意匠がみられる。<img class="alignnone wp-image-26290" src="https://yukotabi.static.yukoyuko.net/wp-content/uploads/2018/06/image13.jpeg" alt="天井には高級杉材、神代杉の虫食いが施されています。" width="451" height="338" />天井には装飾などにつかわれる高級杉材、神代杉の虫食いが施されている。迫力あります。あのセナもこの神代杉を観ながら眠ったんだなあ～と思うと感慨深いものです。湯河原には昔、文人、画人が足繁くかよったというイメージが強いが、まさか伝説のF1レーサーまでもが湯河原の湯に浸かっていたとは驚きです。湯良し、ビジュアル良しの湯宿が湯河原にはあります。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。（訪2018年4月）<table><tbody><tr><th>名称</th><td>亀屋旅館</td></tr><tr><th>所在地</th><td>神奈川県足柄下郡湯河原町宮上517</td></tr><tr><th>電話</th><td>0465-62-2145</td></tr><tr><th>アクセス</th><td>JR湯河原駅よりバス約10分「藤木橋」徒歩約3分</td></tr><tr><th>URL</th><td><a target="_blank" href="http://www.kameya.net/" target="_blank" rel="noopener">http://www.kameya.net/</a></td></tr></tbody></table>湯河原温泉の宿情報は<a target="_blank" href="https://www.yukoyuko.net/yado-area/L04/P14/O0144" target="_blank" rel="noopener">こちら</a>

【連載】湯巡画報YUKOTABI分室 「第5回 湯河原温泉 亀屋旅館（神奈川県）」

【温泉突撃リポート＃5】歴史ある湯はNEWスポットも盛りだくさん!湯河原の「最新＆定番」はこちらから!

【連載】ハイキングと軽登山で楽しむ温泉「第2回　山・湯河原梅林と湯河原温泉（神奈川県）」

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