<p>日本には、名作や文豪と縁の深い温泉地があちこちに点在しています。群馬県の伊香保温泉しかり、兵庫県の城崎温泉しかり。そして、ひときわ色濃い文学ロマンに包まれた温泉地こそ、今回紹介する広島県の尾道市です。尾道市をこよなく愛した文豪を2人紹介しましょう。</p><p><h3>尾道市の海を活写した林芙美子</h3></p><p>名作『放浪記』の作者として知られる林芙美子。今は亡き名女優・森光子が主演を務めたロングランの舞台でご存知の方も多くいるでしょう。その『放浪記』に登場するのが、尾道市の海です。 「5年ぶりに見る尾道の海は懐かしい」という一文は言いえて妙。短い文章ですが、尾道水道から瀬戸内海へと続く、水の温泉郷の情景を見事に表現しています。</p><p><div class="graybox"></div></p><p><h3>尾道市の名刹を詠んだ正岡子規</h3></p><p>正岡子規と温泉地の関係と言えば、誰もが愛媛県の道後温泉を思い浮かべるでしょう。でも、子規は1895年に現在の尾道市に立ち寄った際、西国寺と天寧寺を詠んだ句を残しています。その句が刻まれた石碑があるのが、千光寺公園の頂から延びる「文学のこみち」です。「のどかさや小山つづきに塔二つ」というのが子規の句。尾道市内にある西国寺と天寧寺の塔を詠んだ句と伝えられています。</p><p><blockquote>文学のこみち</p><p>所在地　広島県尾道市西土堂町19</p><p>交通アクセス　JR山陽本線尾道駅より車で約10分</blockquote></p><p>&nbsp;</p><p></p><p>古き良き街並みと美しい山水で、訪れる人の心を魅了してくれる尾道市。そんな尾道市の光景を内面風景として文学レベルにまで昇華させたのが、今回紹介した2人の文豪です。名作と名句を思い浮かべて観光をすれば、尾道市の魅力が倍増すること間違いなしです。</p>

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